冗談という言い訳


寒さが本格化しだしても浜野君は俺を釣りに誘ってくる
そして、今日も…


「速水ー!」

「なんですか?
釣りなら行きませんよ」

「ちゅーか、まだ何も言ってねぇし…」

「図星なんでしょう?」

「まぁ…」

「行きません、こんなに寒いのに…」

「いいじゃんかー!
いこーぜ!」

「行きません!」

「うー…じゃぁ倉「じゃお疲れ」

「あー・・・・」

鞍馬君は浜野君の方を見向きもせずに部室を出て行ってしまう

「諦めて帰りましょう
だいたいもう外は暗いんですから…」

「だってそうやってもう一週間も釣りしてねぇーし」

「そんなこと言われたって…」

あぁ…
どうしようめんどくさくなってきた

「一人で行けばいいじゃないですか?」

「へ?」

「そんなに行きたいなら一人で行けばいいじゃないですか」

「えー」

「えーってなんですか!?」

「一人って…」

「釣りって一人でするものでしょう?」

「いや、そーだけど…
誰かいたほうが楽しいじゃん!」

「…帰ります」
もう、付き合ってられないこれ以上暗くなって帰るのは
正直、嫌だったし、今の状況からも逃げ出したかったし

「ちょっ!速水、待って俺も帰る!」

「行かないんですか?」

「一人で行ってもつまんねーし…
後、一人で帰んのもやだし…」

「子供」

「なっ!」

「じゃぁ、手でも繋いで帰ります?」

冗談で言ったつもりだったのに浜野君が手を握ってきたので
驚いてしまった。

「え?」

「え?手繋いで帰んだろ?」

「いや、冗談だったんですけど…」

「あ、マジで?
でもいいじゃんこのまま帰ろう!」

強引に手を引かれふらつきながらもなんとか体制を立て直し歩き出した。

きっと彼だからほんの冗談で言った言葉も真に受けてしまうんだろうな…
だけどそんな彼だと知っているから冗談という言い訳を使ってしまうのかもしれない…


ねぇ、冗談でキスをしてと言ったら
君はしてくれるのかな?



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