君と僕の一番


僕は同級生に恋をした
だけどその同級生は部活の先輩に恋をしてる
けどその先輩には恋人がいる

あぁ、なんて虚しいのだろう……

「ねぇ、狩屋くん」

「んー…?」

「パスの練習一緒にしない?」

「あぁ、いーよ…」

「………」

彼はキャプテンと一緒にいる霧野先輩を愛しそうに見つめて上の空…

「もぉ!狩屋くん!」

「な、なんだよ!?」

「パスの練習!」

「あ、あぁ
ごめんごめん…やろうか」

「うん!」

どうしよう心臓がちくちくして痛い…

「…影山くん?」

「あ…ごめ…ん」

「??」

「あ、あっちでやろう!」

慌てて作った笑顔は不自然じゃなかったかな…
ちょっと不安だな…

皆とは少し離れた所でパス練を始めたのはいいのだが
なかなか集中できずミスを連発してしまい狩屋くんに不審がられてしまった

「なぁ今日、調子悪すぎない?」

「え!?
そ、そんなことないよ!!」

「ふーん…」

「ほ、本当に…」

言葉がうまく出ない
ますます疑われてしまう、どうしよう…
泣きそう…

そう思った時には時すでに遅しで涙が地面に落ちていた

「あ…」

「い゙ッ!?
おい本当に大丈夫かよ!!?」

「ご、ごめん!」

自分が惨めでこれ以上こんな姿を見せたくなくて僕は逃げた
途中、天馬くん達の声が聞こえたけど無視してグランドから逃げ出した


「はぁ…はぁ……はぁー
思わず逃げ出しちゃった…どうしよう…」

無我夢中で走っていたらいつの間にか河川敷にまできていて
どう言い訳をしようかとぐるぐる考えていると背中に重みを感じた

「え…?」

「や、…っと、追い…付いたぁ…
はぁ…はぁ…」

「かり、やくん…?」

背中に感じた重みは狩屋くんのものだった
息を切らせて汗が止まらない狩屋くんをみてあぁ、迷惑をかけてしまった。そう思い落ち込んだ…


「お前がいきなり泣いてしかも逃げ出したからそれを見てた
霧野センパイにめっちゃ怒られただろうが!ったく」

「……ごめ…」

霧野センパイ…
その名前を呼ぶ君の顔は怒られたにも関わらずちっとも嫌そうじゃなくて
むしろ嬉しそうで…辛かった

「ごめん…ね
迷惑かけちゃって…あはは
早く戻らなきゃね」早く…早く早く…
戻らなきゃ、また泣きそうになる…
走ろうとしたら狩屋くんが僕の腕を掴んで走りだした

「走るぞ!
また霧野センパイに怒られるだろ」

「う、うん…!」

この心臓のちくちくは一生消えないのかもしれない
けどいつか君と僕がお互いの一番になれたら―


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