ほんの少し気まずい雰囲気になりかけたが優一さんがその雰囲気を消してくれた

「天馬くん、これ秋さんに渡してもらえるかな?
ヴァレンタインのお返しに、って」

「あ!はい、きっと秋ねぇ喜びますよ」

「そうだといいな
ねぇ、天馬くんは京介からお返し貰えた?」

「え?」

「いや、京介のやつ随分と悩んでたからね
ちょっと気になってたんだ」

「あ…」

剣城、俺の為に悩んで選んでくれたんだ…
どうしよう、凄く嬉しい

そう思ったことが優一さんにはわかってしまったのか
素敵な贈り物をもらえたんだねと微笑んで話しかけて俺は笑顔ではいと答えた


ガラガラ―

「買ってき…なんでそんなに笑顔なんだよ兄さん」

「なんでもないよ、ね、天馬くん?」

「あ、はい」

「・・・・?」

飲み物を買いに行っていた剣城が戻ってきて俺と優一さんを交互にみて不満と言った表情を浮かべていた

「ありがとう、京介」

「あぁ、ほら松風」

「あ、ありがとう!」


その後は三人で学校での出来事や部活の話をして気付けば面会時間もそろそろ終わりの時刻を指そうとしていたので優一さんが話を中断させた

「そろそろ時間だし今日はもうそろそろお帰り
天馬くんもまたおいで?」

「はい!」

「じゃぁ、兄さん」

「うん」

笑顔で手を振る優一さんにさよならと告げ病室を出て病院を出ようとしたら聞き覚えのある声に呼び止められた

「天馬!!」

「あ、太陽!」

「よかったぁ、会えて」

「??」

「コレ、秋さんに渡しておいて
ヴァレンタインのお返しです、って!」

「そっか、太陽にも渡してたね」

俺と太陽が話してるのを少し離れた所で見ていた剣城の表情が曇っているようにみえたけど気のせいかな・・・?

「それから、これは天馬に」

「え?俺、何もあげてないよ」

「ううん、天馬はいつも僕に笑顔をくれるからそのお礼」

「えぇ、それってお礼を言われるようなことかなぁ…」

あれ、なんか太陽との距離が近い・・・?

「僕にとっては天馬の笑顔は特別なんだ、天馬だいす―」

「松風、帰るぞ」

「へ?」

太陽が何かを言おうとしたのを阻止した剣城は俺の腕をグイッと引っ張り気付けば剣城の背中に匿われるよな状態になっていた

「・・・ちょっと剣城くん邪魔しないでよ
まだ話の途中だったんだけど…」

「黙れ、邪魔しようとしてるのはどっちだ」

「はぁ〜、まぁ、いいや天馬また今度ね!」

「う、うん」

どうしたんだろう剣城・・・
なにか俺、剣城を怒らせるようなことしちゃったかなぁ…

「松風」

「な、なに!?」

「帰るぞ」

「あ…うん」

太陽からもらったお菓子であろうソレを通学鞄に入れて剣城の後を追いかけた
だけど、剣城の歩幅はいつも以上に速くて追いつくのがやっとだった

やっぱり怒ってる?

「つ、つるぎ・・・
歩くの速い」

「あ…悪い…」

俺の言葉で歩くのをやめて此方をみてくる剣城の表情は夕暮れの太陽で逆光となりよくわからなかったが
なんとなく怒っているような落ち込んでいるような・・・そんな感じだった

「どうしたの…?
なにか俺、悪い事した…かな?」

「…いや、お前は悪くねぇよ
俺が勝手に…」

そこまで聞いてなんとなく剣城は太陽に対して嫉妬をしていたのだと気付いた
そう気付いてしまえばなんとも剣城が可愛くみえてしまう

「剣城―」

「ん?」

「大好きだよ!!」

「!!!!」

勢いよく剣城に抱きつけばバランスを崩しかけたがそれでも俺をしっかりと抱きしめてくれた剣城にさすがだと思った

「お前なぁ…」

「えへへ」

凄く凄く幸せだ
大好きな人がこんなに俺を想ってくれた剣城素敵な贈り物ををありがとう―


後日、天馬の首元に小さく光るネックレスを数人の部員が見かけていた。

HappyWhitedey!!


end




[Back]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -