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葵に引っ張られるままに商店街にまでやってきた天馬はわけがわからず
どこまで行くの?と葵に声をかけた。
「どこってスーパーだけど?」
「な、なんで?」
「ヴァレンタインの材料を買いに行くに決まってるでしょ」
「えっ?俺、財布持ってないよ…」
「いいわよ別に
私も買うけど絶対に余るからそれを天馬にあげる」
「そんないいって!」
「幼馴染の好意はありがたく受け取りなさい
どうせ何を買えばいいのかなんてわからないんだから」
「それは…」
図星のようで黙り込んでしまった天馬の腕を再び引っ張りスーパーへ駆け込んだ
買い物かごの中には大量の板チョコと生クリームにデコレーション用のシュガーパウダーにココアパウダーが放り込まれていた。
「そ、そんなに?」
「部員全員にあげるんだから当然でしょ?
それにチョコって湯煎したら結構、量が少ないんだから」
「ゆ、せん?」
「…お湯でチョコレートを溶かすことよ」
「へぇー」
初めて耳にした単語のようで感心したように葵の話を聞いていた。
「じゃぁ、今から木枯らし荘に行って作りましょ!」
「今から?」
「当然よ!
ヴァレンタイン明日なのよ!ほら早く!」
ぐいぐいと腕を引っ張られいったい今日で何度目なのだろうと思いながらも天馬は葵に引っ張られ木枯らし荘に走って行った。
木枯らし荘に到着すると玄関先に秋がおりキッチンをお借りできますか?と葵が尋ねると秋は快く了承してくれ
そのまま二人でヴァレンタイン用のチョコレート作りをはじめ夕方頃には部員全員以上の量のトリュフが完成していた。
「よし、次は剣城くんの分ね!」
と、葵が袋から取り出したのは今まで使っていた板チョコとは別の板チョコが出てきた
「ビターチョコレート…?」
黒いパッケージにそうプリントされている板チョコをみるとカカオ75%と表記されていた
「そう、これら甘いものが苦手な剣城くんでも食べれないことはないでしょ?
まぁ、私が渡すのはみんなと同じミルクチョコだから甘いけどね」
ふふ、と笑う葵の優しさが嬉しくてありがとうとお礼を言った。
剣城用のチョコは小さなタルト型に生チョコを注ぎ固めたチョコタルトが完成し
葵にお礼を言いながら明日、葵が配る部員へのトリュフのラッピングを手伝った。
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