幸せなら手を繋ごう


俺の目はいつもふわふわ笑うアイツの顔を探している
ただ、見付けたからと言って何かをするわけでもなくアイツのことを見ているだけ
それだけで幸せだから


たまに二人で下校する時があるがやはりお互い人の目が気になるのか微妙な距離感で歩いている


「…………」

「…………」

そして、これいった話題もなく
端からみればただの不良とパシリにしかみえない状況になっている


「つ、剣城…」

「…なんだ?」

「あ…あのさ…
俺といてさ…た、楽しい?」

コイツは何を言っているんだ
理解するのに時間がかかり俺は暫く固まってしまった

「部活の時は色々話してくれるけど
二人でいるときは何て言うか…全然、側に来てくれないし話しもしてくれないし…
俺といても…楽しくないんじゃないかって…不安でさ…お、れ…」

いつもふわふわ笑うアイツの顔から不釣り合いな涙がぽろぽろと落ちてきた

「ま、つかぜ…」

「ご、ごめ…ん」

謝らなくていいのに松風は謝りながら涙をごしごしと拭き取りだした

「なんで謝るんだよ…
俺がお前のこと不安にさせてたのに」

「だって…女々し、い…だろ」

「…松風、」

「ん…?」

松風の目もとにあった手を握り
擦り過ぎて赤くなった目尻にキスをした

「悪い…
ただ、近くにいるだけで…いや俺の視界にお前がいるだけで幸せで…
だけどそれじゃお前は不安で仕方がなかったんだよな…」

「つる、ぎ…」

ぎゅぅっと抱きしめお互いの体温を感じられ暖かい気持ちに溺れていった

「剣城…
手、繋いで帰ってもいい…?」

「あぁ…」


今まで不安にさせてしまったこと
そしてもう不安にはさせないという想いを込めて大切な人の手を握りしめた


幸せなら手を繋ごう―
end


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