冬の匂い


帰り道に通りすぎる風が冷たくて身体がひんやりしてしまう
もうすぐ冬がやってくる
沖縄は冬でも暖かいけど東京の冬は始めてだから耐えれるかわからないなぁ…なんて考えながら歩いていると剣城の姿が目に入った

「剣城!」

「…松風」

「何してたの?」

「別にお前には関係ないだろ」

「冷たいなぁ」

悪態をつかれても内心では嬉しかった
前までは気軽に話したりなんて出来なかったから凄く

「何ニヤついてんだよ
気持ち悪い…」

「に、ニヤついてなんかないよ!」

「ふん」

「………」

「………」

ヤバい、気まずい沈黙が流れてしまった
何か話題を探したが見つからないどうしようと焦りだしたその時とても冷たい突風が二人の間を通りすぎた

「さっむ……ぃ!」

「…?」

「剣城、平気なの?」

「いや、この時期はこんなもんだろう」

「そっか…」

あぁ……
やっぱりそうなのか
俺、東京の冬は耐えれそうにない

「俺、沖縄出身だから
向こうじゃこの気温がもう冬みたいなもんだったから…」

「ふーん、じゃぁ…」

「?」

ぎゅぅ…

凄く暖かい…

「つ、剣城!?」

「本格的な冬がきたらずっとこうしててやるよ」

「え?」

「そしたら寒くねぇだろ?」

「あ…ぅ、うん」

どうしよう、凄く暖かい…
さっきまでの冷たい風が嘘のように今は暖かい

剣城と暖かい時間が過ごせるなら早く東京の冬の匂いを感じたい―
end


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