暖かい時間


部活のない久しぶりの休日
神童の家にお邪魔しているのはいいのだが
ついたとたんに抱き付かれどうしたらいいのかわからなくなった

「し、神童…?
どうした?」

「………」

弱ったな
黙りを決め込んだら暫くこの状況からは逃れなれない
正直、言えば嬉しいのだがいきなり抱き付かれたのでは意味がわからないから焦ってしまう

「神童…
座っていいか?」

そう、神童の部屋に入っていきなりのこの状況
ソファに座ることも出来ぬまま俺達は立ったままだ

「あ……
悪い霧野…」

名残惜しそうに俺から離れていく神童の手を取り
ソファに腰を掛けた

「いったいどうしたんだ?」

「………」

「神童…?」

ゆっくりと優しく幼い子に問いかけるように
神童の言葉を待った

「昨日の夜…」

「うん?」

「霧野が俺の目の前から消える夢を見て…
眠るのが怖くなって…」

「寝てないのか…?」

今にも泣いてしまいそうな表情で微かに頷き
俺の服の裾を握り締めてきた

「安心しろ神童
俺は消えないしずっとお前のそばにいる
眠るのが怖くなったら一緒に寝てやる
そしたら目が覚めても安心だろ?」

「き…りの」

「なっ?
それより目元にクマできてるぞ
一緒にいるから少し寝ろ」

「でも…」

「いいから寝ろ」

ぎゅぅっと神童を自分に抱き寄せ背中を擦り眠りを促す
だんだん神童の体温が上がってくるのがわかり規則正しい寝息が聞こえてきた


「安心して眠れ神童
ずっとそばにいる…
お前がいなきゃ俺はダメになるからさ…」


大好きで愛しい幼なじみ
許されるなら永久にこうしていたい

end



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