冷たい視線


※マサ→蘭拓



新入部員の狩屋マサキ―
あいつが来てから俺のペースが崩されていく
今日だってほら…


「霧野先輩」

「……なんだ
今、俺は神童と話しているんだが」

「ああ、そうなんでか
じゃあまた後で―」

「いや、もう話は済んだからいいぞ狩屋」

「おぃ、神童まだとちゅ…」

「俺たちはいつでも話せるけど
後輩は部活中じゃないとなかなか俺たちとは話せないんだ少しくらいは良いだろ」

「それは…」

「ありがとうございます…キャプテン」

一瞬、狩屋の瞳がギラつくのが見えまた良からぬこと考えているのだと思った

「じゃあ、俺は監督と話してくるよ」

「あ…あぁ」

「キャプテンは優しいですね」

「…で、何の用だ狩屋」

「いえ、ちょっと先輩に伝えたいことが」

「…?」

裏と表がコロコロ変わる狩屋を疑いの目でしか見れない

「俺、霧野先輩のこと…
好きですよ」

「ッ!?」

いきなり何を言い出すのかと思えば意味がわからない

「でも、先輩は俺のこと嫌いですよね?」「あまり…、良くは思っていない」

「良くは思っていない?
好きでも嫌いでもないってことですか?」

「…やっぱり嫌いだ」

「でも俺は好きですよ」

「何が言いたいんだ…」

「俺のモノにする…って意味ですよ」

「!?
だ、誰がお前のモノなんかになるかよ!」

あぁ
こいつは俺を苛立たせてチームをぐちゃぐちゃにしたいんだ

「キャプテン…」

「え?」

「キャプテンにちょっかいを出せば振り向いてくれます?」

「お前ッ!
いい加減にしろよ…」

「あれ?
そんなに怒らなくていいじゃないですか…あ、もしかして二人って付き合ってます?」

もう我慢の限界だった
狩屋の胸ぐらを掴み殴りかかったが腕が動かなかった
誰かに制止されたのだとわかるとその誰かを睨みつけたがそこにいたのは神童だった

「神童…」

「霧野ッ!
どうしたんだ、お前らしくないぞ…」

「ッ…俺らしくない…か」

「霧野…?」

「悪い…」

もうここには居たくなかった
神童の手を払い浜野達のいるところへ走った

*****************「霧野…」

「びっくりした…
霧野先輩ってば急に殴ろとするから―」

「狩屋、霧野の事が嫌いか?」

「?」

「霧野があそこまで怒るのは珍しい…
霧野に何か言っただろう?」

「俺は何も」

「…そうか、わかった」

『案外単純だなキャプテン』

「でも…霧野を惑わせるなら俺は許さないぞ」

「ぉ、俺そんなつもりありませんよ
じゃぁ俺、天馬くん達の所に行きますね」

「…………」

『チッ…強い絆ってやつ?
くだらない』


狩屋が天馬達の所に行くのを眺め
視線を霧野の方へ向けると浜野達と何かを話していた

狩屋が何を考えているのかわからない
霧野を惑わせてどうしたいんだ?

瞳を曇らせ考えていると霧野と目が合い
浜野が声をかけてきた

「おーぃ!神童ー
そろそろ練習再開しよーや」

「そうだな」

返事を返すと霧野が近づいてきた

「神童、さっきはすまなかった」

「いや、気にするな霧野」

「あぁ…」

「霧野、俺はお前を信じる
狩屋に何を言われたかはわからないが…お前を信じる」

「神童…ありがとう…」

背後で二人を見つめる冷たい視線に
二人はいつ気付くのはいつになるだろう


『面白くない…
早く壊れてしまえばいいのに』
end


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