誰よりも


部活も終わり帰ろうとしたが部室の明かりが目に入り覗いてみると神童がまだ残っていた

「神童?」

「!、霧野のか…」

「まだ残ってたのか?」

「いや、部誌を書いていたんだ…
もう終わったからそろそろ帰るよ」

「そうか…大変だな」

「いつものことさ」

少し疲れた表情で片付けを始める神童から視線を部誌に移すと今日の練習内容、良好・反省・改善点の枠にビッシリと書き込まれていた
流石と言うか几帳面だなと改めて思いながら内容をなんとなく読んでいた

ちゃんと部員1人1人を見ていると言えるほど全体を把握している内容だった
今日の練習内容と全員の改善点、キャプテンとして今後の練習内容の提案、等が細かく書かれてある

「………流石」

「え?」

片付ける手を止め霧野の方を見る神童

「ちゃんと皆のこと見てるんだな」

「まぁ…キャプテンだしな…
ちゃんと見てなきゃ試合での判断力にも支障がでる」

やっぱり神童は凄い
だが何だかモヤモヤした気持ちが心の中に生まれた

「なぁ、神童…」

「なんだ?」

「俺のこともちゃんと見てくれてるか?」

「な、なんで急に…そんな、こと…」

顔を赤くしてどんどん声が小さくなる神童の予想外の反応に思考が止まってしまった

「いや…
皆のことを見てるのはキャプテンとしてだっていうのは理解してるさ
だけど俺のことは少しでも特別な目で見てほしいなって…」

「え…ぁ…」

「あー…
悪い、さっきの言葉忘れてくれ
それより部誌、返して帰ろう」

柄にもない
こんなことでヤキモチだなんて
神童を困らせるだけだ
外に出ようと歩き出したら神童に呼び止められた

「き、霧野!」

「ん?どうした?」

「ぁ…いやその…
霧野のことはちゃんと見てるぞ」

え―?

「霧野のことは…他の誰かを見る時とは違う…その…」

真っ赤な顔で目から涙を零れ落としながらは言うものだから俺は神童の頬に手を添えてキスをした

「き、霧野!?」

「悪いただのヤキモチだ…
困らせてすまなかった神童」

「ぅ…」

そのまま抱き締めて背中を摩ってやると少し落ち着いたようだった

「悪い困らせて…」

「いや…
俺の方こそ泣いたりしてすまない」

「いいよ今回は俺の方が悪いから―」

少しでも―
いや、誰よりも特別でいたい
俺の我が儘なヤキモチを許してくれ
俺の大好きな人
end


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