螺旋律
細長くて綺麗な指先から奏でられる優しくて儚い旋律
心地好くていつもうとうとしてしまう
「…霧野?」
「あ…悪い
やっぱり神童の弾くピアノの音色は落ち着く」
「よせよ…
そんなたいしたことじゃない
俺なんて音楽の世界から見れば素人も同然さ」
「いいや、俺はお前の奏でる音色が好きだ」
「霧野…」
「誰かとじゃなくてお前のな」
霧野はすっと立ち上がり神童の元に近付き
手の甲にキスを落とした
「きっ霧野!?」
「好き…」
「え…?」
「神童も神童が奏でられる音色も全てが好きだ」
「〜〜〜〜っ」
耳まで真っ赤にして大きな瞳が潤みだし涙が零れた
「し、神童?!」
「ごめ…きり、の…
その、う、うれしくて…」
あぁ…
愛しい恋人が更に愛しくなってしまった
もっと溺れてしまおう
君と言う螺旋律に―
end