*灰色の雲*
最近、日差しがあまり射さなくなり
昼間でも厚い灰色の雲に覆われる日が多くとても憂鬱な日々を過ごしていた
「うーん
今日も曇りかぁ…」
せっかくの休みで今日は剣城が俺の家に来てくれるのに…
気分がのらない
「はぁ……」
「どうした?
お前が溜め息なんて珍しい」
「つ、剣城!?
いつ来たのさ?!」
「さっきだよ
ノックしても返事がねぇから…」
「あ…ごめん…」
剣城が来たことにも気付かないなんて
そ
「どうかしたのか?」
「ううん…なんでもないよ」
「松風」
「なに?」
「宿題、やるんだろう?」
「あぁ…そうだった
ごめん、準備するね…」
折り畳みの机を取りだし
勉強のできるスペースを確保した
「お待たせ
じゃぁ、やろうか」
「…………」
「剣城、どうかした?」
「お前こそどうした?
気分でも悪いのか?」
「………悪くはないけど
曇りばかりて気分がのらないだけ…」
そう、ただそれだけ
曇り空ばかり眺めていたから気分がのらないだけ
それだけなんだ…
「松風ちょっと、こっちこい」
「??」
なんだろう?と思いベッドに腰かけていた剣城のもとに向かったらぐいと腕を引っ張られそのままベッドに倒れ込んでしまい剣城おもいっきり抱きしめられた
「つ、剣城!?」
「ちょっと寝かせろ」
「え……?」
「眠い…」
「う、うん…」
しばらくして規則正しい寝息が聞こえてきた
「本当に寝ちゃった…?」
起こさないように動こうとしたら抱きしめる力が更に加わり動けなかった
「剣城…起きてるでしょ」
「……黙ってろ」
もぉ…
ちょっと悔しいけどこれが剣城なりの精一杯の優しさで凄く暖かくて嬉しかった
曇りの日は気分がのらない
だけど、剣城が抱きしめてくれたらそんなのどうでもよくなった
「ありがとう…剣城」
「…別に」
ぎゅっと抱きしめ返せば更に暖かくて
幸せな気持ちになれた―
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何か御座いましたら…