小説 | ナノ


  豆腐はお好き?


ガラガラと引き戸が開いた。
里へと戻ってきたサスケは今は木ノ葉警務部隊に所属し、任務に当たっていた。

『あ!サスケが帰ってきた!』

「ただいま」

『おかえり。今夕飯の支度してるから先にお風呂入ってくれば?』

「そうする」

病院勤務が休みだった○○は洗濯物を畳んでいた。
イタチは台所を任されており、器用に手際よく料理を作っている。
サスケが自分の荷物を自室に置きに行ったのを確認して○○は再び和室に戻り、洗濯物を畳みだした。


(やっと終わったー!)

最近になってうちは家では洗濯物が増えた。
イタチとサスケが里抜けしている間、家には○○しかいなかったため、洗濯物は一人分だったのだが、イタチとサスケが帰ってきてからは昔みたいにたくさんの洗濯物が出るようになった。
大変だが、幸せでいっぱいだった。


「お先に…」

『おかえりサスケ。洗濯物自分の部屋に持っていってね』

サスケはこくんと首を縦に振って、まだ濡れている髪をタオルでガシガシと拭く。
何年か前までは自分の腰ほどぐらいしかなかったサスケが今や自分よりも大きくなっている。
色々辛いこともあったが、耐えてきてよかった。
そう○○は思った。

「姉さん、サスケ。夕飯出来たぞ」

イタチに声をかけられた○○とサスケは居間に向かう。
食卓には出来立ての料理が並べられ、食欲をそそる匂いが鼻を掠めた。

「今日は豆腐ステーキだ」

『いいねぇ』

「……」

いただきます、と手を合わせて食事を始めるも、
先程からサスケの箸が一向に進んでいない。
不思議に思ったイタチが「どうした、サスケ」と声をかけた。

「どうしたサスケ。豆腐は嫌いか?豆腐はいいぞ、タンパク質や脂質が豊富で体にいいんだぞ」

「…く…」

「しかも豆腐は大豆が作られていて…」

「に、く…」

「そうだ、よく知っていたな。大豆はその栄養価の高さから畑の肉とも呼ばれているんだ」

沸々のサスケの中で何かが湧き上がっていた。
○○はサスケが思っていることが大体予想が付いたため苦笑を浮かべる。
状況が読み込めていないイタチは頭の上にはハテナマークを浮かべた。

「兄さん」

「なんだ?」

「昨日の夕飯覚えているか?」

うーん、と頭を悩ませ「おからナゲット」と答えた。
サスケは「その前の日は?」と問い返す。
うちは家の昨日の食卓はおからナゲット、一昨日は里芋と筍の煮物、その前は豆腐ハンバーグ。
ヘルシーで健康的な料理なのだが、育ち盛りのサスケにとっては気に入らないようだった。

「肉が食いたいんだよ!!」

サスケは声を大にして訴えた。
イタチが台所を任されてから、食卓にのぼる料理は健康的でヘルシーなものばかりだった。
イタチが肉類が好きではないことにも関係しているらしいが。

「ハハハ」

イタチは笑顔になってサスケに「それは悪かったな」と謝った。


***
イタチはステーキが嫌いだというので。
そもそも肉が嫌いなんじゃないかと思って、書いてみました。
ネタ段階ではもっとギャグ風味だったんですが、サスケのあまりにもキャラ崩壊が激しいのでちょっと抑えました。そしたらオチがなくなりました。
イタチが料理作ると全部ヘルシーになりそう。



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