neta | ナノ
 
今月は重いなあ、と机に突っ伏していると、こちらに近づいてくる足音。

「体調、悪いんですか?」
「わ、黒子君」
「ハイ。黒子です」

って、いや、こんなコントしている場合ではない。

「ちょっとお腹が…ね」
「…そうですか」

語尾を濁したことで私の腹痛の理由を察したのか、深く追求してこない。こういう所優しいなあ、といつも思う。

「温めましょう」
「…え?」
「それで多少は楽になると聞いたことがあるので」

私の隣の席の椅子を拝借し、黒子君は腕を伸ばしてきた。手のひらが腹部に重なる。

「…」
「……えーっと…」
「?」

あんまり温かくない。なんて、言えない。だって好意でやってくれていることに文句を言うなんて失礼だ。

「…温かくないんですね」
「え」
「反応で分かります」

ぷぅ、と膨れる黒子君が子供みたいでかわい…いやいやいやいやいや。

「こうなったら意地でも温めます」
「え、わ、わわ」

腕を回し、ぎゅう、と抱きつかれてしまった。あまりの恥ずかしさにもう何が何だか分からない。

「くっくくくくろこく、」
「大丈夫です、温めます」

大丈夫じゃないよ!

「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -