neta | ナノ
 
俺に恋をしない彼女が好きだった。俺の表情や一挙一動にいちいち頬を赤らめない、甲高い黄色い声を上げない、そんな彼女のことが。他の誰かと同じように俺に接してくるところも、俺に媚びないところも、全部全部愛おしかった。「顔なら赤司の方が好みだけど、話は黄瀬の方が合うなあ」なんて、そう言われた日にはもう嬉しさとくすぐったさと戸惑いでいっぱいいっぱいになって、溢れ出しそうな想いに蓋をするので精一杯だった。彼女は俺の顔を見ていない。俺のスペックに興味が無い。ただ趣味だとか思考だとか、そういうので俺を評価してくる。それが嬉しくて嬉しくてたまらなかった。やっと俺を見るのではなく、俺を感じてくれる人が現れた、と。しかし、いったいどうすればいいのだろうか。俺は「俺に恋をしない彼女」が好きになったわけで、じゃあもし彼女が俺に惚れてくれたら、惚れてしまったら、俺の想いは冷めてしまうのではなかろうか。そんな気がして怖かった。とは言いつつ俺だって思春期の男子だ。ハグとかキスとか、その先とか、もちろん色んな欲がある。


ここで力尽きた

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