「シュウ、シュウ」 手招きするとシュウは二回瞬きをして、それからちょいっと首を傾けた。 「なに?」 シュウはどことなく重力を感じさせないような歩き方をする。寄ってきた彼にしがみつくと、上から笑い声が聞こえた。 「甘えたい気分なの?」 「甘えられたい気分なの」 「そう」 じゃあ遠慮なく、と聞こえた気がしたけど、シュウは多分そんなこと言っていない。でもぎゅうっと抱き返してきた。 「あたたかいね」 「シュウはあんまりあったかくない」 「そりゃあそうでしょ」 自虐的な言葉にちょっと悲しくなったが、私が悲しんだところで何がどうなるわけでもない。シュウがあったかい体になれるということもないのだ。 |