夏目は優しい人だ。いつも誰かのために走り回って、なのに周りからはおかしい奴だ嘘つきだって言われ続けて。それでも誰かを助けるために、毎日のように苦しい思いをしている。どうにか彼を癒してあげられないだろうか。休んでもらえないだろうか。考えて、考えて、考えて。辿り着いた結果はこうだ。そうだ、彼を食べてしまおう。そうしたら嫌なことから解放される。そう思ったのに、何故だろう。なかなか口を開けない。 「きみは人間そっくりで、綺麗で、優しい妖だね。ほら、泣かないで」 ごめんね夏目。わたしはあなたを幸せにはできそうにない。だからいっそ全部終わらせちゃおうなんて、そんなことを思ってしまったんだ。 |