neta | ナノ
中指で背表紙を撫でる。何度も何度も読み返した、俺が一番好きな本。知名度こそ低いが、俺はこの本が好きで好きでたまらない。
「またそれ読むのか、霧野」
「ああ」
「よく飽きないな」
何度目だ、と呆れ気味に笑う一乃に「1638回目だ」と返すと、今度は目を見開かれた。正確な数字を答えたことと、その回数と、それを覚えていること。三つ全てに驚いているのだろう。
「好きなんだよ」
俺はこの本が、この本の中で儚く笑う彼女が、大好きなんだ。
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