やわらかく握った私より一回り大きいV兄さまの手はほんのりと温かく、確かに生きているのだと実感できる。それがとても安心した。トロンもX兄さまもW兄さまも居ない今、私がV兄さまを安心させる側のはずなのに。それでも、深く眠っているだけなのだという証拠があると嬉しくてたまらない。少しでも早く、なんてことは言わない。ただ、充分に休んだ後「おはよう」と言ってくれれば、それだけで充分なのだ。朝でも昼でも夜でも構わない。V兄さまが目を覚ましたら、一番に抱き締めよう。その次にご飯を作ろう。V兄さまは私がご飯やお菓子を作る度に美味しいと言って食べてくれた。その笑顔を見たい。兄さま、V兄さま、私はここに居ますよ。ずっと、V兄さまが笑ってくれるまで。 |