neta | ナノ
 
「おーっす雨宮ぁー」
「あっまた男子の制服着てる!ダメだよ、ちゃんと女の子の制服着なきゃ!」
「またって、いつもコレだっつの。何だよ、わざわざ見舞いに来てやったのに」
「それは、嬉しいけど…でも女の子の制服の方がいい…」
「いやだからさ、雨宮。何回も言ったっしょ?僕、男子の制服着るために色々頑張ったわけ。無遅刻無欠席無早退で、授業時間保健室に居たことだって一回も無いんだよ。テストだって全部90以上取って、掃除も行事も真面目にやって」
「で、一年で生徒会長になって、進級しても玉座を譲る気はナシ。でしょ?制服のためだけに、よくやるね」
「あったりまえだろ。スカート本当に嫌なんだ」
「…とりあえず試着してみる気、ない?」
「無いな。てか雨宮敬語使え」
「何で?」
「と・し・し・た、だろ?」
「そうだけど」
「そうですけど」
「やぁーだー」
「子供かお前は!」
「分かった、じゃあ女の子の制服着てきて!そしたらちゃんと敬語で話すよ!」
「じゃあいいや」
「…」
「不服そうな顔しても無駄だ」
「…」
「涙目になっても駄目だ」
「…ケチ」
「ケチで結構。んじゃ、僕帰る」
「えっ、もう帰っちゃうの?」
「お前の顔見に来ただけだし」
「わぁ、どうしよう、ちょっとときめいちゃったよ。責任とってね」
「は?」
「あっ真顔…真顔怖い…」

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