「V」 そう呟いてもただ音だけが室内に反響するばかりで、Vは目を開けようともしないし、右手の指だって私の両手に挟まっているだけで、握り返してなんかくれない。それも当然と言えば当然なのだが、今まで私のどんな小さな呟きにも反応してくれていたから、やはり多少なりとも寂しい。けれど、早く起きてくれないだろうかと心の底から思ってもいない。むしろゆっくりと休んでいてほしいくらいだ。Vはいつも頑張り過ぎてしまうから、寝ていてくれた方がこちらとしても安心できる。 「V、お疲れ様。よく頑張ったね」 くせのある髪を柔く撫でると、ほんの少しだけ嬉しそうに笑ってくれたような気がした。 |