17

「け、景吾君これは」

男性、飯田の父親が景吾に話しかける。
まだあまりはっきりしない頭でも分かる。

「ミカエル、うちの執事から聞きませんでしたか?そこに座っているあなたの娘が殺人未遂を犯した、と」

「何かの間違いじゃ、」

「間違い?」

景吾が相当怒っているということが。
景吾だけじゃなかった。
何故か居る氷帝メンバーからも怒りを感じる。
そもそも何で立海に景吾達氷帝が居るのか。
練習試合?だとしたら教えてくれてもいいのに。

「この状況を見て分かりませんか。今クロエは起きていますがつい先程まで気絶していました。首を絞められて」

「っ、だって!その女が、クロエが私をいじめるんだもの!」

今まで黙っていた飯田がいきなり叫ぶように訴える。
その顔は自分の勝ちを確証しているような顔だ。
ありえないのに。

「!百合香!お前なんて口を、」

「クロエがいじめだと?」

飯田の父が飯田を咎めるため口を開くがそれにかぶせるように景吾が飯田を睨み言う。

「そんなことありえねーが、一応聞いてやる。なにをされたっていうんだ」

「クラスの子達に私を無視するよう言ったり教科書を破ったり水をかけられたり…もう私耐えられなかったの…!!」

顔を覆って声を震わせながら喋る飯田に今まで見ているだけだった飯田の母が座り込んでいる飯田の肩を抱き飯田父を見た。

「ちょっとあなた。百合香がこんなに言ってるのに何故信じてあげないの。泣いてる百合香が嘘をつくはずないわ!そこの小娘どうにかしてちょうだい!!」

…親がこれなら飯田があんななのも頷けるわ。
そういえば私飯田父にしか会ったことなかったわね。
景吾は飯田家族3人と会ったことあるみたいだけど。
これ、会ってたら何か違ったのかしら…もう心底めんどくさい。

隣に座る侑士にもたれ掛かった時、ドタバタと生徒会室に近づく足音に扉の方を見る。

「クロエ!」

「大丈夫!?」

入ってきたのは立海で出来た友達だった。
いきなりの登場にすこし吃驚して目を見開く。

「え、ちょ、手どうしたの!?」

「誰にやられたの!飯田!?」

「ちょっとあなた達!部外者が入って来ないでちょうだい!」

私に近寄って大丈夫かと大騒ぎする友達に苦笑いしながら答えてたら自分の娘のせいにされたからか飯田母が大声を上げた。
仮にも社長夫人がこんなことで大声上げて、みっともない。

「部外者じゃないんですけど〜」

「てかおばさんこそ誰」

「あ、飯田のママじゃね」

「〜いい加減にしなさいよ!」

「うるさあーてか何飯田泣いてんの?泣くのクロエのほうじゃん」

「クロエは泣かないけどね〜強いから」

「おいお前ら」

あまりにも場が纏まらなくなったからか痺れを切らした景吾が友達に話しかける。

「なに〜?」

「え、てか跡部様じゃん!本物!」

「つーかクロエ心配しすぎで気づかなかったけどテニス部勢揃いじゃん!やっばー!」

「てめーらうるせぇよ。それよりお前らクロエの友人か?」

「そーだよー」

「飯田百合香がクロエにいじめられたらしいんだが」

「はあ!?なにそれ!」

「なに、バカなの?」

「逆じゃん!飯田がクロエいじめてたんじゃん!」

景吾を見て笑顔になっていた顔が本人からの言葉により一気に険しいものえと変わった。
そして今度は飯田を睨みながら攻め立てる。

「な、百合香がそんなことするわけないじゃないの!」

「うわなにこのおばさん。ないわー」

そう言った友達に景吾がさっき飯田が言ったいじめの内容を話せば蔑むような目で飯田を見た。

「無視してたのクロエに言われたからじゃないし。あんたが話しかけた女子無視したからじゃん。そのくせ男子には愛想よくしてさー」

「つーかクロエはあんたに話しかけられたら答えてたじゃん。なのに主犯扱いとか、クロエが可哀想だわ」

「そもそも水かけられたのも教科書破られたのもクロエでやったのあんたでしょ。皆知ってんだけど」

急なことに飯田は頭がついて行かないのか呆然としたまま。
しかしやはり飯田母が噛み付いた。
もう私口挟む隙もない。

「証拠も無いのに百合香のせいにいないでくれる!?」

「証拠?あるけど〜」

「なんだと?」

「え、跡部様証拠欲しかったのー?早く言ってよ〜」

ちょ、証拠あるとか私聞いてないわよ。

「そんなのいつ集めたの?」

「ふふん。クロエの為にコツコツ集めてたんだ〜!」

「ちょっと待ってねえ。…あ、大我?あたしー今暇?生徒会室にアレ持ってきて来んない?うん。よろしく〜」



その電話から数分後、部活で学校に来ていたクラスの男子が証拠なるモノを持って生徒会室に来てくれた。

mae ato
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