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柳に忠告されてから数日経った昨日の晩。
景吾から電話があった。
内容は元気なのかから始まり最近はどうなんだとか。
とにかく心配された。
でもなんだか心無しか景吾のテンションがいつもより高かったような気がするんだけど。
気のせいかな。

そして今日友達に放課後テニス部見に行かないか誘われたけどまだ生徒会の仕事が終わってなかったからお断りした。
今日はやたら誘ってくるんだけど何かあっただろうか。
全く覚えていない。
そいえば最近嫌がらせないな。
もう飽きたのかしら。
とか油断してたのがいけなかった。


今日もまた、クラシックをかけながら私は資料とにらめっこ。
毎日毎日よくこんなに仕事があるわね。
だけど今日は学校のことは早く終わり、まだ時間に余裕があったから父に渡された跡部の新プロジェクトの資料を整理してしまおうと仕事用のノートパソコンを開いて今度は画面をにらめっこしていた時。
ノックもなしにドアが開いた。

何事かと視線を向ければそこに居たのは飯田だった。
あれこいつ部活は?

「あれー百合香ちゃん?どーしたのお?」

私がそう問いかけてもニヤニヤ笑ってるだけの飯田に気味が悪くなった。
笑いながら近づいてくるから尚更。

「百合香ちゃん?」

「ねぇクロエ」

「え、なあに?」

私の呼びかけには答えず逆に名前を呼ばれた。
そのころにはデスクを隔てているだけの距離になっていた。

「私ずっと考えてたの」

「何を?てか百合香ちゃん部活は?」

あれ、これ柳にも聞いたような気がする。

「何で私は除け者にされるのにクロエはあんなに構われてるのか」

えー…それ私が憶測で思ってたことー。
やっぱりそうだったんだね…。

「だってクロエ金髪碧眼ってだけで大して可愛いわけでもないし、私みたいに財閥の令嬢でもないでしょ?」

あなたの家は財閥ってほどのお金持ちでも企業でもないでしょうに。
そして大した力もないのよ。

「なのに好かれてるなんておかしいじゃない。皆クロエに騙されてるんでしょ?あんなに沢山の人間がクロエの為に動くなんて変だもの。でもいくら嫌がらせしてもクロエ何も言わないし、いい加減我慢の限界なのよね」

本当自分本位な考え方。
そんなんだから皆あなたから離れていくってことに気づいてないのね。

「だから考えたの。皆聞く耳持たないからクロエが嫌われるようにすればいいんだって」

そう言った飯田は気持ち悪いほどに狂ってる。
どうしてそんな考えに至るのか理解出来ない。
それに飯田の独白に若干イラッときてるのよね。

「ふーん。百合香ちゃんもうちょっと頭良いと思ってたんだけどなあ」

「なんですって…?」

「だってそうじゃん。どうしてそんなに自分自分なの?そんな考え方しかできないから皆百合香ちゃんから離れていったんじゃないの?私関係なくない?」

「、うるさい!」

顔を真っ赤にして凄く醜い顔で私を睨む飯田。
うるさい?
私からしたらあんたがうるさい。
なに人の仕事の邪魔してくれてんのよ。
しかもこんなしょーもないこと。
今日は珍しく早く終わったから思う存分家の仕事できると思ったのに。
まあ私も学校のが終わった時点で帰ってれば今頃ゆっくり資料の整理出来てたと思うんだけどね。

「ねぇ百合香ちゃん、用事それだけなら部活行ったら?今日休みなの?ちゃんとサポートしないとますます遠巻きにされちゃ、!?」

まともに話してても時間の無駄だと思って私はまたパソコンに視線を戻して飯田に話しかけていた。
見てなかったのが悪い。
だけどこれはないんじゃないかと思う。

言い終わる前に飯田に思い切り首を掴まれて椅子の背もたれに押し付けられる。

「っ、は…ゆ、りちゃっ はな、し」

デスクに乗り上げ体重をかけながら押さえつけられれば息も出来ないくらいに苦しくなる。

「うるさいうるさいうるさいうるさい!!!」

全く聞く耳もたない飯田は話すどころか力を強くする。
本当に息が出来なくて目の前がボヤけてきた。
歪む視界にキラリと光る何かを見た気がした。

「いっ、」

そう思った時にはもう遅く、首を掴む飯田の手を掴んでいた私の左手に激痛が走った。
そのお陰で飛びそうになっていた意識が戻って左手を見てみればそこにはペーパーナイフが刺さっていた。
あぁ、なんで仕舞っておかなかったんだろうか。
左手の痛みと息苦しさに涙が溢れる。
それでも飯田は手を離そうとはしない。
こいつこんなに力強かったの。それとも理性がなくなってるからなの。
首を絞めて左手の甲を刺しても収まらないのか今度は思い切り左頬を平手打ちされた。
脳が揺れる感覚に本気でやばいと思った時、大好きな声が聞こえた。

mae ato
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