かつての親友
ルーシィ視点
あたしたちが天狼島から帰ってきて早くも二週間が過ぎた。あたしたちの帰還の噂は国中、ううん、大陸中に広がったみたい。勿論週間ソーサラーもいち早く取材にやってきた。
皆は離れていた日々の時間を取り戻すかのように毎日お祭り騒ぎ。あたしもお父さんの事から少しずつ立ち直ってきた。皆がいる、それが今のあたしには幸せすぎて。
「セイバートゥース?」
「剣咬の虎、セイバートゥースさ。それが天馬やラミアを差し置いて現在フィオーレ最強の魔道士ギルドさ」
「聞いた事もねぇな」
昔はそんなに目立っておらず、この七年で急成長したというギルド。セイバートゥース。ギルドのマスターが変わったことと、物凄い魔道士が六人加入したのが強くなった切っ掛けだそうだ。
「たった6人でそんなに変わるものなの?」
「ほおう、いい度胸じゃねぇか」
ウェンディがフェアリーテイルの順位を聞くも返ってきた言葉は最下位とのことで。慌てて謝っている。
「かーーっはっはっは!そいつはいいっ!面白ェ!だってそうだろ!?上にのぼる楽しみがあと何回味わえるんだよ!燃えてきたぁあー!」
「あはは」
相変わらずポジティブ。でも、不思議と私も『燃えてくる』!隣にいるグレイがやれやれなんて呆れているけど、満更でも無さそう。
「かなわねーな、ナツ兄には!」
「そうですよね、うん!楽しみです!」
ふと。いつものチームの皆と話をしている時、脳裏に過ぎるのはもう1人の少女の姿。
「…、」
「ルーシィさん?」
「あ、ううん!なんでもない!」
不思議そうにこちらを見てくるウェンディには慌てて誤魔化して、あたしはかつていつも一緒にいたあの子≠思い出す。いつも笑っていた、素直で優しい女の子のことを。
同じチームになって、話していたら気が合うからと一緒にいたあの子。7年前のあの日。天狼島に向かう前に季節外れの風邪を拗らせてギルド近くの病院に入院していたあの子。
『大丈夫、ルーシィならやれるよ!カナと、頑張って!』
そう言って、花が咲くように笑っていた。
そんな貴女が死んじゃっただなんて。
信じたくないよ、アイヴィ。
この空白の7年間で、あまりにも失ったものが多すぎた。それでもあたしは、あたし達は。前を向いて未来に向かって歩いて行く。