目が合う
一日に何人とも合うはず
その中でも印象に残れば
あなたの好きな人になるかもしれない
塾の教室の席はほぼ満席に近かった
仕方がなく近くの席に座る
(あれ…?)
さっき来る時のバスで目が合った人だ
何気なくふと視線を移すと音楽を聴いていた隣の子
うまい具合に目が合い、視線を逸した
それから窓の外ばかり見てたので隣の子がどこで降りたか知らなかった
チラッと隣を見る
近くの高校の制服っぽい
「えーだからー…」
先生がホワイトボードに書き出したのでとりあえず授業に集中する
授業が終わり、
隣の子はさっさと帰ってしまい、私の興味心もなくなった
家に戻ると食事するテーブルの定位置の隣に私の隣の子がいた
「え、なんでいるの?」
母はそれを聞いてプンスカ怒りながら
「なんてこと言うのよ。彼は時家洋君。私の友達のリサ知ってるでしょ?リサが半年ほど海外に仕事に行くから、一人じゃ寂しいだろうからって夕飯を時々誘ってほしいって頼まれちゃって…」
と母が言ってる間彼をじっと見た。
彼はニコリと笑った。
「時家君、塾は駅前だよね」
「よく分かったね」
「今日席隣だったから」
「へぇ」
それだけかよっと思いつつ
はっとあることを思い出し、自分の部屋に行ったのだった
鞄から電子辞書を取り出す
あいえんきえん【合縁奇縁】
[意]人と人との関係は、常識では考えられない不思議な縁によるということ。
授業中に出てきた言葉
「身をもって体感したわ」
考えられないよ本当
胸がドキドキしていたのを今更気付いたのだった
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