宇宙人騒動が終わり、いよいよ明日は北海道に帰る。染岡君や他のみんなも元気になって、毎日サッカーをした。残り少ない時間を惜しむように。
「そういや、アフロディに礼言ったか?あいつなんだかすげー心配してたんだぜ」
染岡がスポーツ飲料を吹雪に渡す。軽くお礼を言ってアフロディのことを思った。
「僕も早くお礼が言いたいんだけど、僕が病院に行った時にはもう退院したあとだったんだ。アフロディ君、どこにいったかな」
汗をかいた身体を風が通り抜けていく。
「僕、アフロディ君のこと何にも知らなかったって今更思うよ。好きなことや嫌いな食べ物。どこの中学でさえ知ろうとしなかった。自分のことばかり考えて周りが見えてなかったんだ。周りの優しさに後から気付いて君や皆を…アフロディ君を怪我させたりした。僕のためにそこまでしてくれたのに、お礼も言えないなんてね」
染岡はドンっと背中を叩いた。突然叩かれた吹雪はワッと前のめりになって転ぶ寸前だ。頭にクエスチョンマークを浮かべて、染岡を振り返った。眉間にシワを寄せて吹雪の頭をグシャグシャにする。
「ちょっと!染岡君!なにするのさ!痛いし髪グシャグシャ!」
そう吹雪が怒ると染岡は顔をかいて言った。
「ワリィ…つい。けどな、そんなに思ってんなら動き出さなきゃいけねーじゃねぇか?何も言わず動かずいたんじゃ前と同じだろうが」
だからこういう説教みたいなやつ得意じゃねーんだから…と染岡はうまく纏められないと自分で思ってるようだ。僕からしたらそれで十分伝わってるのに。
「…そうだね!染岡君ありがと!」
「やっと笑ったな」
染岡はフーッと息を出した。
「退院したならアフロディは世宇子中にいるはずだ。東京のどこにあるかは…忘れたから自分で探せよ」
「本当ありがとう!今から探してくる!」
天使のような笑顔を振りまいて吹雪は土手を上がっていった。
「まったく、世話のやけるお二人さんだ。アフロディ、約束は破らせてもらったぜ」
残っていたスポーツ飲料を全て飲み干した。
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オチなし
染岡とアフロディの約束なんだよ
20110517
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