からばこ 2



夢の中の私はひどく泣いていて、起きたとき目が開くのがしんどかった。現実泣いていたらしい。まだまだ失恋した痛みはとれないようだ。
(ありがとな!)昨日よく分からない男に感謝された。その時はイライラして、殴りたいほど低気圧な渦を巻いていた。
それでも外は晴天で学校に行かなければならない。
何か嫌な予感がするなあと思いつつ私は身仕度を始めた。



嫌な予感は当たりやすい。
「おはよう」
昨日と私は同じく靴箱の前に変な男が立っていた。
「なんですか、何かご用ですか?」
予感のおかげで落ち着いて声を出せた。男はうっすらと笑みをこぼして口を開いた。
「名前。教えてもらってない」
「靴箱知っているならご存じではないでしょうか。それに教えられてどうするんですか?」
「本人から教えてもらわなきゃ不確定な情報でしかないよ。俺お前にお礼がしたいんだ」
おかしな奴だ。私がムカついて殴ったのに、自分も殴りたかったからって礼をしたいだの。それにしても一歩たりともどかない。なんて自分勝手なんだろうか。
「お礼はそこを退くので十分です。出来れば今後一切関わらなければ幸いです」
無表情で自分より背の高い男を見上げた。
「それじゃあ俺が満足しない。俺、桐原健吾。君は?」
健吾の態度は全然変わらない。もうそろそろ面倒くさくなった。
「加川。加川佐紀」
そう言うとようやく満足げな様子で健吾は私の靴箱からどいてくれた。ふーと溜め息をして上靴と外靴を取り替える。
「じゃあ今日放課後、駅近くでなんか奢るからーまたなー」
「はあああ!!?ちょっ、勝手に…」

「やっと本音でたね」
ボソリと呟き健吾は足取り軽く廊下を歩いていった。

佐紀は唖然と突っ立ていた。



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タイトルの意味忘れた
まだ続く






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