※付き合ってる
何度も浴びせられた愛のある言葉は穴の空いた心に満たされるのか心配だった。
「どこか少しでもお前の中でオレのかけらが残っていればいいよ」
センパイはそう言ってオレの頭撫でるけれど、つい天邪鬼な態度を取ってしまう。信じない自分がおかしいかのような言われように、何度も傷付いた。
同時に傷付いてしまうと分かっていても求めてしまう自分がいた。
触れてしまうのその唇に満たされたいと願ってしまう。
「好きじゃないかもしれないのにキスしてもいいんですか?」
触れたあとにセンパイにきくとセンパイは微笑んで額にもう一度キスを落とす。
「オレが好きだし、お前もしたいならいいんじゃないか?」
混ざり合う想いは一人になってもオレの中にセンパイのかけらは残ってくれるだろうか。
「満たして、霧野センパイ」
先に求めてしまうのはオレの方だ。
20211213
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