慣れてない【創作BL】はやちは



女装が趣味ではなく、女装して颯斗が調子狂わせるのが趣味なのだ。千春は全身鏡の前にあと数分後にはくるであろう颯斗の為に最終確認をする。
「よし!大丈夫!」
オレが野太い低い声を出すと、近くにいた人は周りをキョロキョロした。そりゃあ、こんな声の持ち主がこんな綺麗で可愛い格好しているわけ無いと大体の人は思うだろう。
自分の声が聞こえやすいところで会う時はスマートフォンのメモアプリで会話することもある。颯斗は気にしなくていいからというが、オレは気にしてしまう。オレのせいで颯斗が変な目で見られるのは嫌なのだ。オレのような綺麗な女の子が恋人で羨ましい。そう周りに思わせたい。
「すまん、待ったか」
振り返ると目つきの悪く、オレより数cmだけ高い颯斗がいた。
オレは文字を打ってスマートフォンを見せた。
《オレもついさっきついたとこ!早く水族館にいこ!》
打ち終わってすぐに腕を組むと、もう耳が赤い。
「……まだ慣れないのか?こういう恋人っぽいこと」
オレがボソリと呟くと、余計に耳を赤くさせながら歩き出した。
「チッ……慣れてる途中だ!」
苛立ったかのような照れ隠しについもう少し身体をくっつけたくなったのだった。

20211210




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