ナンパ【創作BL】はやちは





※高校生目つき悪男子女装男子





待ち合わせ場所までに振り返る男性は何人か数えていく。
ショーウインドウをちらりとみると大抵の女の子には負けないくらい綺麗な自分に口元がニヤける。
きっと今だけだ。こんな気持ちは。
「あの、よかったら今からお茶でも……」
昨日見たドラマに出ていた俳優によく似た男が声を掛けてきた。自分はニコニコとしながら高速でスマートフォンに文字を打って画面をみせた。
《ごめんなさい、あと数十秒で彼氏が来るので》
「え、あっ……でも」
と食い下がってくるとその男の肩をトントンと叩く人がいた。
「オレの連れに何か用でもあんの?」
男が振り返るとブレザーの制服をきた目つきの悪い男の子が立っていた。
「いや、お前誰だよ?」
「は?関係あるそれ?おい、いくぞ千春」
まだニコニコしていた自分の手を取って男の子はその男に睨みつけて引っ張っていく。
引っ張っていく手の先にいる男の子の怒っている表情に今日も嬉しいなとスキップしそうだ。
その様子に気づいたのかようやく男の子は足を止めた。
「ふふ、妬いてくれた?」
オレが喋ると、大きなため息をこぼした。
「おっまえな………オレの反応を楽しむためにあんなことをするなよ」
掴まれている腕に力がはいる。
「い、イタ?!……だって、まだ好きでいてくれるかなって不安になるからさ」
男の子はオレの腕を離して、歩き始めた。オレはその隣を小走りで追いついていく。
「オレより声低いのに、ほんと可愛いよお前は」
耳が真っ赤な彼はまだオレのことが好きだと信じていたい。オレは笑って彼の手をそっと握った。
「フフッ、そうだろうね」
ウィッグをなびかせてオレは笑った。 


20211208




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