住む【基緑】





※付き合ってる!







一緒に暮らさないかと言われた時に即答出来なかった。今でもおひさま園で暮らせているし、二人ともここを出るのは瞳子姉さんの負担にならないかとか考えてしまう。ヒロトは返事はもう少しあとでいいよと言ってくれた。
本当は即答出来なかった理由は分かっている。
緑川にとって家族はおひさま園の皆だ。ここが実家なのだ。ヒロトにとってもそうだろう。だからオレは出来るだけここを離れたくない。旅立っていった方が良いと思っている。この園に入りたい子どもは沢山いるしオレももう働ける年齢になった。
ヒロトは前々から考えていたようでもう住む場所も決まっているようだ。あとはオレ次第だ。
「どうして緑川と一緒に住みたいかって分かってる?」
数日後、悩んでいるところにヒロトから言われた。
「オレが……その……ヒロトと付き合っているから、えっと……」
しどろもどろで顔が赤くなっているとフフッと笑っている。緑川がむくれているとヒロトは優しく頭を撫でた。
「ーーそうだけど、一番の理由はそうじゃないよ」
「一番の理由って何……?」
緑川はきいたがヒロトははぐらかすだけで答えてくれなかった。


家族ってなんだろうか。
緑川は考えつつ、ボーッとしながら下の子たちの世話をしているととある子がオレに笑いかけてきた。
「どうしてそんな顔をしているの?」
その子はオレに不思議そうにきいてきた。
「んーっと、家族って離れてしまうと寂しいよねって」
オレがいうとその子も暗い顔をした。あ、まずいと慌ててオレは違う話題をしようと思っているとその子は袖を引いた。
「あのね、寂しいけど、でもずっと家族でしょう?離れていても」
オレはあっと口を開けた。そうだ、ここがオレの実家でみんな家族だ。
それが変わることはない。
「ありがとう、そうだよね!うん、変わらないもんね!」
緑川はヒロトと一緒に住むことを決めたのだった。



20211205





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