走りたい理由【蘭拓】







「なんで一緒に帰ってくれないんですか?付き合ってくださいっていってるわけじゃないんですよ?!」
昇降口で霧野を待っていると、女の子の怒声がきこえてきた。その後にタッタッタッと走る音が聞こえた。
「悪い、神童。待たせたな、ちょっと一緒に走ってくれるか」
霧野は神童の手を取って、昇降口を出て校門まで結構なスピードで走っていく。
校門を出たら、霧野は速度をゆるめてきたので神童は足を止めた。
「ハァハァ……霧野?誰も追いかけてこないぞ?」
後ろを振り返ってみたら、誰かが追ってきたわけではなかった。先程の怒声ときっと関係あるからと理由をきかずに走ったがなんだかおかしい。
「はは、ただ神童と走りたかった気分なんだよ。ごめんな」
そういって笑った霧野の顔にドキリとしたのは走ったせいだろうか。
まだ握っている手に汗をかきそうだった。



20211202





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