出来なかった赤【創作BL】






後悔なんてしないと思っていた。
幼馴染の結婚式に向かいながら、見えてきた教会を見てため息をこぼした。
全て自分が選んできて、その結果を幼馴染のせいにしたくなっている。
周りからも色々言われてきたけれどオレはどうしても自分の気持ちを表に出せなかった。相手はどう思っていたか分からないが、ずっとただの幼馴染で友達として大切にしてくれたのだろう。
だから1番に報告してくれたのだ。オレはその背中を押した。
足取りが重くなったため、近くのコンビニに寄ることにした。これから式場に行くのだから、食べ物は買うことはないし忘れ物があるわけじゃない。
ただ、少し忘れたいのだ。自分の情けなさを。
スマートフォンがブーブーと上着のポケットで鳴っていた。画面を見ると、アイツの名前だ。
「もう少し浸らせてくれや。頼む」
オレはスマートフォンをそのまま電源を切って、コーヒーだけでもと1つ買って店内にあったコーヒーマシンでコーヒーを作ってイートインスペースへと向かった。
そこには仲の良さそうな高校生らしき男子二人が座って喋っていた。その二人から二つ席を空けてオレは座った。
「なーなー!テスト期間中、毎日お前んち行っていい?一人じゃ集中出来なくてさー?」
横目でしか分からないが、声からすると髪の色がかなり明るめな茶髪の男の子がいったと予想した。すると隣にいた真面目そうに制服を着ている男の子はえーと声を出して渋っている。
「お前、休憩しようよってすぐゲーム始めるじゃん……」
「いやでもお前がいるかいないとじゃ、テストの点さえ違うんだよ!?な、一緒に頑張ろうぜ!」
「ーーまあ仕方ないか、いいよ」
やれやれと真面目な子は言っていた。時刻を見るとそろそろ式場に行かないとまずいかなと席を立った瞬間ちらりとみると、先程の予想は外れたようで、茶髪の方が渋々といった顔をしていた。

店を出てから、ぽつりと言葉が漏れた。
「あの子、耳が真っ赤だったな」
これから結婚する幼馴染も耳を真っ赤になりやすいことを思い出した。
「アイツ、今日も真っ赤になるんだろうな」
クスッと笑いがこぼれた。
本当はオレが真っ赤にさせたかった幼馴染は今日、隣に並ぶウェディングドレスの新婦に真っ赤になりながらエスコートするのだろう。



20211201





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