教えたいこと【ひいあい】





※藍良くんお誕生日おめでとう!
付き合ってないです!




「藍良のおかげでまた1つアイドルのことを知ることができたよ。ありがとう」
一彩はそういって藍良の頭を撫でた。頭を撫でるようになったのは最近のことだ。なんでも自分が人にされて嬉しいことなら、藍良も喜ぶだろうと考えに至って、一彩は昔自分のお兄さんによく頭を撫でられて嬉しかったことを思い出したそうだ。
そりゃ撫でられたら嬉しいは嬉しいけど、その話いる?と思ったのは心が狭いからだからか。出会った頃よりずっと大切で離れたくないし、出来れば誰にも取られたくない。
おれのものでもないけれど、ヒロくんの傍にずっといたい。生まれた気持ちはまだ飛べずにずっと巣の中でじっと温まっている。
「…………藍良?どうしたの?」
何も返事をしない藍良に一彩は首を傾げた。藍良は小さく声を出す。
 
「ねえ。ヒロくんはおれの頭を撫でて嬉しいの?」
ぽそりと出た言葉に自分でハッとして口を手で塞いだ。
何言ってんだろう!恥ずかしい!穴があったら入りたい!と何も隠せずに耳も頬も赤くなっていく。すると一彩は塞いでいた藍良の手をとり、じっと見つめてきた。
「え、あ、ご、ごめん!」
もうこんなのバレバレだと目を逸らした。
「僕は撫でたいから撫でているよ。藍良。藍良のことを大事で……多分これは愛おしいって気持ちからつい撫でちゃっているんだ」
ちらっと逸らした目線を一彩に戻すと一彩もちょっと頬が赤く見えた。
 
「……これがさっき教えてくれた『可愛すぎて尊い!ラブい!』って気持ちなのかな」
一彩は嬉しそうにいうが、藍良は一瞬クエスチョンマークが頭に出て、すぐにさっき観てたアイドルの円盤での自分が熱弁してたことだと気付いて一気に真っ赤になった。先程ドキドキしていた気持ちが別の意味でドキドキしてきた。
 
「もーーーー!!そういうことじゃない!」
「?そういうことじゃないの?藍良、可愛すぎて尊いよ」
とまた頭を撫でてきた。
「うーー!うーー!!」
ちゃんと説明したら自分の気持ちまでもしっかりと説明しなきゃならなくて、出来ずに唸るばかりだった。撫でる手は止めずにいてくれたのだった。


20211127




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