「おい！勇人！」
圭吾が昼休みにズンズンと音楽室にいる勇人の元へやってきた。
「あ？なんだよ、そんな慌てて」
勇人は音楽室の机に座ってサンドイッチを食べていた。圭吾が手に持っていたのは前に取材された雑誌だった。勇人の目の前でバッバッと雑誌をめくって勇人が写っているページを出した。
「ほらこれ！！さっきクラスメートから言われたんだぞ！」
指を指しているのは、《夫婦の仲の良さの秘訣は？》とインタビューアーにきかれて、《夫婦じゃねえが、アイツとは魂が惹かれている限り良さは続くんじゃねえか》と答えたものだ。
「まずオレら別に夫婦じゃないし、これまずしっかりツッコめよ！もう！」
圭吾がプンプンと怒っているが、勇人はとあることに気付いてにやけた。
「ーーーーそういいながらちょっと嬉しそうな顔してるんだよお前は」
「…………なにかいったか？勇人」
「いや」
オレもまあお前が嬉しいなら夫婦と言われても別に困らないからなと勇人は思いつつ口元はにやけたのだった。　


20211122