ありがちな【佐久春】






佐久間先輩はいつも足取りが早い。何をそんなに急いでいるか分からないけど、少しは女の子に合わせてほしいわ。どんどん前に進む佐久間にぶつぶつ言っていたら、とうとうはぐれてしまった。
「もう!」
プンプンと怒りながら、春菜はケータイで佐久間に電話した。
「はぐれちゃいましたよ!」
「…悪い。今どこ?」
佐久間が申し訳なさそうに低い声できいてきた。
場所を言うとすぐに佐久間がきた。
「少しは女の子に合わせて歩いてくれてもいいじゃないですか!」
春菜が文句を言うと、佐久間は頭をちょっと下げた。
「いつも源田なんかと遊んでて、そのスペースでつい」
佐久間はこれで大丈夫なはずと春菜の手をとった。
不意に繋いだため顔はニヤけそうになったが、なんだかそれじゃあ悔しいと膨れた顔を継続した。
「そんなに膨らまないでよ」
佐久間が春菜の顔を覗く。

「いーじゃないですか!反省してもらうためです!」

そうは言っても顔が赤い春菜を見て佐久間は可愛いなあと思うだけだった。







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