丸を目指す夜【照吹】








会える日は少なくて、電話越しに聞こえる声だけが彼のことを考えるための重要なものだ。
「会いたいっていったら困るよね」
なんとなく惹かれて、なんとなく連絡をとって、いいなって言葉に反応するだけの大切な時間がこれからもそうなのかなと不安になる。
好きだとか愛してるだとか言ったことがなくて、ただこの時間がずっと続いてほしい、出来れば長くこの関係でいたいと願ってしまう。
部屋の窓から見える月は大きなまんまるで、綺麗だなとぼんやりとスマートフォンを持ちながら電話をするか否か考えてしまう。
電話したい時にしてきていいよ。
そう言われても。彼のことだといつものようにスマートにできない。
「会いに行けるように頑張らなきゃ……その為のエネルギーだから」
僕は彼へ電話をかけた。
気持ちが綺麗な丸を描くまではあと少しだ。




20211119




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