嫌だったから【奏純】





※付き合ってるけど喧嘩してる
お題「許せる?オレは許せないけどね」


「純哉くんどういうつもり?」
「どういうつもりって仕事だから……もうお前腕避けろよ」
純哉が阻んだ腕を無理やり避けようとするが、奏は避けなかった。睨むが奏は表情を変えずにいた。
奏が嫌がるだろうとは思っていた。バラエティー番組でとあるタレントと組むことがあり、それからコンビのように出させてもらっていた。オレは仕事だし相手もビジネスパートナー的な思いでいたが、相手はそうじゃなかったらしくて本気で好きになったと打ち明けられたのだ。
結局はそれもドッキリだったのだが、事の顛末を知っているはずなのに奏はそういう仕事はやめてほしいと言ってきたのだ。
「オレがいいたいこと分かるよね?」
奏は純哉に顔を近づけてあと数センチで唇が触れてしまいそうだ。ドキドキとした胸の煩さは奏に惹かれているからか、それとも怯えているからか。
「か、かなで……」
「なに?」
触れてほしい、キスしてほしい、本気で好きになってほしいのはお前だけだ。
言いたいことはあっても自分のプライドが声にならない。
「ーーーーキスはしないからね」
奏はようやく腕をおろして、すぐにその場を去ろうとする。
純哉は咄嗟に奏の腕を取った。
「奏…………オレはお前が好きだから」
「そっか、ありがとう純哉くん」
奏は微笑んでいたが、目は合わせてくれなかった。



20211116




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