うつす瞳は温かい【円冬】





※高校生になっても付き合ってないけど、たまに連絡のやりとりしてる二人
お題「君の瞳が好き」



カサついた手にハンドクリームを塗りながら、もうすぐそこまで冬が来ているんだなあと窓の外を眺めた。道路に転がるのは枯れ葉たちで、近くの木は寒そうにまた1枚枯れ葉が落ちていく。こんな寒い朝でも彼は特訓だ!と中学から変わらないテンションでいるのだろうと思うと少し口元が緩んだ。
昨日連絡がきて、練習試合見に来ないか?と誘われた。馴染みのメンバーが多いチームと試合をするから勉強の気晴らしにでもとのことだった。元々友達から誘われていて行こうとは思っていた。でも、マモルくんからそんな誘いの連絡がくるなんてと胸が弾んでしまい、昨日はそのまま返信を忘れていた。
「お弁当持っていこうかな?それとも差し入れがいいのかな」
マモルくんがいるチームにもマネージャーはいるのだろうから、お弁当はやめた方がいいだろうか。いろいろ考えるうちに、また返信忘れそうだ。
ああでも、マモルくんのために何かしたい。
私だって彼のために役に立ちたいのだ。

ふと部屋に飾っていた写真立てに目が留まる。中学最後の試合の時の集合写真だ。彼は中央ですごく満足そうな笑顔している。沢山の仲間とサッカーが出来て幸せだと伝わってくるようだ。
卒業して学校が別々でも私のことを気にかけてくれるのは本当に嬉しい。例え、私がその大勢いる沢山の仲間の一人だからだとしても、今までと変わらずに接してくれるから励まされる。

スマートフォンのロックを解除して、昨日の返信をしていく。
《誘ってくれてありがとう。必ず応援しにいきます!》
打ち終わって送信して、画面をオフにしたらすごく嬉しそうな自分の顔が反射して映ってああそうかと気付いた。

彼の瞳に映る自分は、きっと好きな自分だ。
弾む気持ちはきっとその表れだ。
彼がサッカーが好きで、私はそれを応援するのが好き。

「今日も勉強頑張ろう」
もうすぐ冬が来る。寒くても彼を思い出せば心は温かくなるだろう。


20211113




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