かわらないよ【沢村兄弟】






風呂から上がると、チヅの鼻歌が部屋から聞こえてきた。前に明日は事務所でチヅの誕生日を祝うと言っていたこと唯弦は思い出した。
唯弦は明日から全国ツアーでそんな暇はない。
「チヅいいな、ボクも奏くんに祝われたかったな」
ソファーに座るチヅの後ろに結弦は話しかけた。チヅはピタッと嬉しそうに動いていたのを止めてゆっくりと後ろを振り向いた。その顔は昔から見たあの我慢する顔だ。
「ゆ、ユヅ、あのね…………」
変わらないのだ、チヅはいつも。そしてボクも変わっていない。
 
ーーーーそれは本当だろうか?ボクらはきっと明日歳をまた一つ取る。去年とは違うのだ。
「かわってあげようか、なんて無理だからね。チヅにボクの代わりにステージに出るなんて」
唯弦が微笑むとチヅはパッと喜んだ。
「そ、そうだね!!ウンウン!!!ね、今日は一緒に寝ようよ!!」
「えーやだよ。……でもベッドから落ちてもいいならいいよ」
そういうとチヅは立ち上がってピョンピョンと跳ねて唯弦を抱き締めた。
「だーーいすき!!ユヅ!!!」
真正面から全力で言ってくるところはいつまでも変わらないし変わってほしくないなと思うのだった。






20211111




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