紅葉の間【照吹】



「アフロディくんはほんとこういうところも似合うね」
赤や黄色の絨毯を二人で歩きながら紅葉を眺めていく。秋も深まってそろそろ冬が来てしまうのだろう。
「君も綺麗だよ」
アフロディは振り返って微笑みかける。薄茶色のコートは髪の色をより綺麗に見せて、こんな綺麗な光景も彼の力なのかもと思うくらいだ。
「ーーーー君って本当に上手いよね」
僕はハアとため息を落とした。繋げなくなった手を見つめてしまう。昨日までは簡単に繋いでしまったのに、明日には帰るからそれが出来ない。
「そうだよ。君を引き止めて、また会いたいと思わせたいから」
そういうと、彼は僕の手に引いて抱き締めた。
「ああ、ずるいよ。君は。帰ってしまうんだね、冬に」
「うん、そうだよ。帰るよ、また会おうね」
それをきいて、彼は腕を緩めて頬を撫でた。
「また会う時は君とこうしていたいよ」
余裕のある表情ではない辛そうな彼の顔を見られて、僕は内心嬉しかった。冷たい風が僕の間に吹いて、紅葉が去っていく。



20211109




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