何も知らない【創作BL】






※親友に片想いしてる男の子の小話。



親友が真剣な顔をして口を開くから、息を吸うことすら出来なかった。
「お前だからいうんだけど、好きな人ができた。その相談に乗って欲しい」
生まれつきの綺麗な茶色の髪は照明でキラッと輝いた。この眩しさが今は死ぬほど痛くて見たくない。
親友は目を逸らして話を聞いていることにもオレに気付かずに話を続けた。彼は彼でおそらくこの恋愛相談に必死なのだ。
「その…………その人っていうのが」
真っ赤にしながら話す姿が目の端に映る。ああ、聞きたくないと思いながらも真っ赤になっている顔も可愛いと感じてしまう。どうしようもないと自分自身に笑いそうだ。
目の前にあるお冷の氷は既に跡形もない。
「ーーーー隣のクラスにいる比高って奴なんだけど知ってるか?」
カランと氷が溶ける音かと思えば、いじっていたスマホがテーブルに落ちた音だった。すぐにキャッチしたから大きな音は立てなかったが、親友はびっくりしたようだ。目をぱちくりとしてしまい、オレは悪いと軽く謝った。
「知ってるのか?」
もう一度親友はきいてきた。比高ときいて、まず浮かぶのは二人なのだ。比高はどちらも男の双子だった。そして、ある時からオレに絡んでくる謎な奴らだ。
「そ、そりゃあまあ……双子は目立つし……」
「そうだよな、はは……しかも男が好きって……引くよな」
親友の顔がどんどん曇っていくので、オレは違うと首を振ったが親友には見えていない。

引くわけがないのだ。オレはお前が出逢った頃から片想いしているのに。
 
オレは大きく深呼吸して口を開いた。
「好きな人ができるっていいことだよ。オレは応援するからなんでもいってくれ」
微笑みながら言うと親友は安心したかのように屈託なく笑った。
「ありがとう。だからお前に言おうと思ったんだ」



20211102




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