追いかけて光る星【天城兄弟】



※カップリングとして全く書いてないですが、そう感じたらすみません。
お題「愛した僕の負け」




初めてその小さな手に触れた時に、オレはこの為に生きているんだと感じた。弟が出来て側で過ごして、守ることがどれだけ難しくて自分にどれだけの力があるか分かってしまった。弟を守るため、幸せにする為の方法を考えた末だったのかもしれない。
自分の中に入った小さな星はすぐに消えてしまって、弟に見せることは出来ない。だからこそ、消えない星に、どんなに離れていてもいつか見つけてもらえるような星になりたかったのかもしれない。
 
「昔はこんなところで寝ているなんてなかっただろうに。よっぽどここが気に入ったんだな」
隣でよく眠る弟の頭をそっと撫でた。オレの帰りを待っていたらしいが、限界がきて寮の共有スペース寝ていたそうだ。ニキが夜遅くに帰宅したオレをみて、声を掛けてくれた際にそんなことを話していた。待たずに寝た方がいいと促したそうだが、弟は首を横に振った。
「いや、僕は大丈夫だから兄さんのことを待ってるよ」
そんなことを言って、ニキはホットミルクを入れてあげたそうだ。

愛しい感情を教えてくれたのは、このとても良い子に育ってくれた弟だ。
同時に守っていく難しさも身にしみて感じた。
「お前が待っててくれるからねえ、オレっちは今もここにいるんだろうな」
今、弟が見つけてくれるような星になっただろうか、それともクズ石となって落ちてしまっただけだろうか。
「待てなくなったらいつだって追いかけてくるからすごいよ、一彩は」
着ていた上着をかけて、部屋に戻ったニキを呼びに向かったのだった。



20211030





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