秘密のこと【大人照吹】



※付き合って別れたあとの少し経ったあたり
お題「この想い、伝えるべきか」






「どうしたら良いのだろう」
ふわふわとした気持ちが行ったり来たりとしている。すぐそこにはいる愛しき人は、今会っていいか分からなかった。
今の自然な距離がきっといいのだろうと思い込んで随分経った。思い込んで、思い込んでももっと触れたいし好きな気持ちは変わらない。
ああ、昔ならひと目も気にせずに走って飛び込んでいったのに今じゃそれが出来ないなんて。
先に見えているアフロディはこちらに気付いて微笑んだ。彼はサッカー雑誌のインタビューに答えていて、次は僕の番だ。
彼のインタビューが思ったより伸びていたらしく、あと少しで終わるからと僕は彼が答えている姿を眺めていた。
「これはまたプライベートなんですが……今後誰かと添い遂げるなど考えていますか?」
そんなことまで訊くのかと僕は眉をひそめたが、彼はずっと微笑んだまま口を開いた。
「そうですね、今はサッカーが楽しくて仕方ないですし……ただ一緒に同じものを追いかけられたらいいなと思います」
チラッと目配せした先は僕がいってドキッとした。インタビューアーも振り返って僕を見てなるほどと呟いた。
「まだまだフィールドで戦っていたいんですね」
インタビューアーがアフロディにいうと彼は何も言わずにニッコリとしていた。
ああもうーーーーーー。
ドキドキとした気持ちをどうにか落ち着かせないと次の番である僕が困るじゃないかと、心の中で嬉しくなった。




20211026





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