確認する【奏純】



※付き合ってません。
お題【恋人をぎゅってしてみよう!】


ファンへ向けてのちょっとした動画をそれぞれ撮ることになった。動画のテーマは胸キュンなシーンだ。
「あー!いた!純哉くん!」
純哉が事務所にあるキッチンで動画を撮ろうとしていると、奏が嬉しそうにかけてきた。
「ん、どうした?そんな嬉しそうにして」
「あのね!思いついたんだ!胸キュンな動画!」
奏が思いつくとは珍しい。奏といえば考えたファンサをするというより自然に出来ちゃうファンサが多い。胸キュンなセリフを以前番組で答えるときにもかなり苦戦していた。自然にできてしまうことはすごいことだが、やれと言われてやれないとなるアイドルとしては苦しいところだ。
「ちょっと純哉くんこっちにきてくれる?」
奏に手招きされて、やれやれと純哉はカウンターキッチンから出た。
するといきなりギュッと抱き締められた。
「へ、うわっ!?奏離せよ!」
「もーちょっと待ってー動画撮ってるから」
動画ってこれを!?と純哉が混乱していると、奏がスマホを手にした時にするっと純哉は腕なら抜け出した。
「おまえ!な!なんでオレを抱き締めるところを撮ろうもするんだ!?」
「えーーだって胸キュンするでしょ?純哉くん」
胸を抑えてるし、とボソリというのが聞こえて、純哉は無意識に胸に当てていた手を下ろした。
「バカ!誰だっていきなり抱き締められたらビックリするだろ!」
「ううん、この胸キュンの設定は恋人同士だから嬉しいはずだよ」
「ハーーーーー?!」
ドキドキとまだ心臓がうるさい。突然のことでこんなにうるさいのか、はたまた奏だから鳴り止まないのか。
純哉は落ち着くためにゆっくりと大きく深呼吸する。吸って吐いて、吐いて。
「ーー……どっちにしろ、抱きしめたら動画撮れないだろ」
純哉は冷静に奏にそう言うとあ、そっかー!と今気付いた様子だ。
じゃあ何がいいかなと悩んでいる奏を背にして純哉は胸にそっと手を当てる。まだ胸は落ち着かなかった。



20211015




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