忘れたい【蘭マサ】



※何事もなく朝チュンした付き合ってる蘭マサ!
お題「忘れないで、忘れられたくないんだ」



 
 
初めてだったから何も知らなくて、おそらく相手もそうだった様子でこの後どうしたらいいときいてきて笑っていたら、そのまま寝て迎えた朝だった。
「こんなの夢かと思ってしまうな」
センパイはクスクスと笑いながら顔の前にあったオレの手を握る。
「そうかもしれないっすね、ただこれ気付いたんですが合宿とかと変わりないんじゃ……」
オレがいうとまあそう言うなよと綺麗な顔はずっと幸せそうだった。自分の手を握って、そんな表情をされると正直戸惑ってしまうしどうしたらいいか分からない。
「ーー本当に狩屋は合宿と同じ朝だと思うか?」
返事をしようとして頭を撫でられ微笑まれる。ああ、好きじゃなくなりそうなくらい自分のせいで幸せそうなセンパイが悔しい程に触れたくなる。
素直に触れて違いますと口づけ出来たら良かっただろうが、オレにはできなかった。
「……忘れたくなるな、こんな朝なんて」
捻くれた返事で精一杯だ。頬を少し膨らませて言うと頭を撫でていた手のひらは狩屋の頬へと移動して触る。
「忘れてくれるなよ、お前が幸せそうな顔が見られた朝なのに」
センパイの指がオレの唇に触れる。膨れていた頬は一気に赤く染まった。
「忘れられないような朝だろ。好きな人と迎えた朝は」
「そんなこと言えちゃうから忘れたくなってしまいますよ……覚えてたら朝がくる度に思い出して心臓がもちません」
オレはそう言って触れられた指を軽く口で挟んだ。




20211013




prev next








×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -