教えて【ひいあい】



※付き合ってない。
お題【問一、君と僕を表す関係はなんでしょう。】


自分たちのインタビューが掲載された雑誌を読んでいて、あれと思ったことがあった。
「あ、ヒロくんねえ……この前の雑誌のさ」
寮の廊下で会った一彩をみて思い出して引き止めた。
「やあ、藍良。雑誌?ああ、ALKALOIDでインタビュー受けたあの仕事のことかな」
「そうそう!発売されたから見てみたんだけどさ……」
手に持っていた雑誌を広げようとしたが、元気そうな声が遠くから聞こえてきた。
「ここじゃ邪魔になるから部屋に来てもらっていい?今、先輩たちいないし」
「ああもちろん」
部屋に入って、先程広げようとした雑誌を一彩に渡した。
「その付箋貼ってあるところがおれたちのインタビュー記事だよ」
数ページとまではいかなかったが、1ページに小さな集合写真と全ユニットとしてのインタビュー、そして最後にそれぞれ個別の一問一答があった。
「ヒロくんはさ、おれのことは大事な友なんだよね?」
藍良は一彩の一問一答の部分を指差した。“同じユニットの藍良くんとはどういう仲ですか?”という質問に“大事な友”と答えている。別に今更、恥ずかしいとかもないし、一彩は時折そんなことを口にしていた。
「なにか問題があったかな……?」
アイドル的には問題ないだろう。だけど、そうじゃないのだ。
「んーーと、分からないならいいよ。ヒロくんがそれでいいなら」
藍良は少し拗ねた声が出た。大事な友というのも嬉しいが、それは他の人にも一彩は使う。それが少し嫌なのだ。
「……藍良、教えてほしい」
一彩はグッと顔を近付けてきた。藍良は咄嗟に顔を隠した。
「き、急に顔を近づけないでよ!ビックリするじゃん!」
「ああ、ごめん。でも藍良が嫌なら教えてほしいんだ。僕と藍良はどういう関係なのか」
近付けてきた顔は少しだけ離れたがまだ近い。指の隙間からみてる寂しそうな顔に、隠していた手を下ろすしかなかった。
「……分かんない。でもなんかもっと違う言葉がいい」
藍良は一彩の手を取って指を絡めた。ドキドキしているこの気持ちは、大事な友だけじゃ収まらない。
「そうか……じゃあ分かったら教えてほしいな」
絡めた指に応えてるように一彩はギュッと握り返した。
 


20211007




prev next








×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -