一緒のものにして【照吹】



※ゆるく付き合ってます
お題【カフェオレいれたよ。え?ブラックがいい?】




苦いと分かっているのに懲りずにブラックを飲もうとしていた。最初からミルクたっぷりのカフェラテとかにすればいいのにと以前言ったことがあるが、本人曰く一緒のものがいいし、いつかは同じものをそのまま飲みたいと話していた。
「……まだ苦いだろう?はい、砂糖」
僕は角砂糖が入っている小瓶を吹雪の方へと渡した。すると、吹雪は首を横に振った。
「あのね、照美くんは知らないと思うけれど……」
吹雪はコーヒーカップを持って一口ゴクンと飲んだ。そしてにっこりと笑うのだ。
「僕、飲めるようになったんだよ。ただ甘い方が好きなだけ」
そう言って渡された小瓶を受け取って蓋を開けて1つポチャンと角砂糖を入れる。
「君との時間をもっと甘く過ごしたいからね」
ニコリと笑う吹雪の顔は得意気だ。ああ、そうやって女の子を落としてきたのかいと言ってやりたいくらいだが、僕だって君に落ちたのだから簡単には言えない。
「……まあここじゃあ限られた甘さにしかならないけれどね」
唇に人差し指で触れてから、吹雪のコーヒーカップのフチをなぞった。その指をもう一度自分の下唇に触れた。
「顔赤いよ、吹雪くん?」
僕が言うと吹雪はコーヒーを一口飲んでからボソリと言った。
「そりゃ甘いからね」



20211006




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