誤魔化せない【蘭マサ】



※霧野がめちゃくちゃ狩屋にアタックしてるがうまくいかない。
お題「道化師だよ、君だけの」





手を振りほどいて、嫌な言葉を並べてオレに構わなくなるようにと思ったのに、どうしても体当たりでぶつかってくる。
「センパイ、オレのことそろそろ諦めて下さいよーーオレだって女の子にモテたいです」
「嫌だよ。それにオレ以外にモテなくていい」
「束縛はモテませんし人にもあまり好かれるものじゃないですよ」
はあとため息をついてじっと見るとそうなのかと顎に手を添えて考え込んでいる。なんでこの人はオレを諦めてくれないんだろう?みんなオレの本性を知ったら手を離すからいい子にしていたが、センパイに対してはいい子に慣れなかった。可愛い後輩を演じられていたら、きっとセンパイはこんなにオレに構わなかっただろう。
そう思うと、最初が失敗したなあとまたため息が出る。きっとあれは失敗だ。
「……お前にモテたら別にいいのか。なあ狩屋、オレはお前を諦めないから」
「はいはい……いつまでもそうしてください」
バタンとロッカーの扉を締めて、狩屋は部室を出た。出た瞬間に足が早くやりいつの間にか走ってる。
なんでこんなに顔が赤くなってしまうのだろうか。センパイに『諦めないから』と言われただけで嬉しくて心臓がはち切れそうだ。走ってないとドキドキがごまかせない。
と、センパイの声が後ろから聞こえてくる。まだ諦めないとかなんとか言っているかと思ったら違っていた。
「狩屋ーー!!カバン!忘れてるぞー!」
狩屋は足を止めた。身体が軽いと思えば確かに何も持ってない。
「はっず……」
真っ赤な顔は今からごまかせるだろうかと狩屋は顔を両手で隠した。





20210927




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