抱き締めて【ひいあい】



※付き合ってない?
お題「だめとはいってないでしょ」



 
 
抱き締められることが当たり前になっていて油断した。
「あ、やば……」
藍良がスマートフォンを眺めながらうーんうーんと唸り始めた。
「どうしたんだ?藍良」
「これみてよ」
藍良が見せてきたのは、とあるSNSのアカウントに上げられていた自分と藍良が仲良さそうに映っている写真だ。どこにも問題がなさそうにみえる。
藍良も気づいたのかサッサッとスマートフォンをスクロールしていくと、ある共通点を見つけた。
「僕と藍良が映っていて抱き締めてる写真が多い?」
「そう!それーーーー!!!多分この人そういう写真を集めて注目を浴びてるんだよ」
写真と共に同じ文章がいくつかついていて、《#距離近すぎコンビ》というのが最初にきている。距離が近いと良くないのだろうか?
「……多分わかってないだろうからいうけど、こういうのが良くないわけじゃないよ。だけどアイドルだからさ……あまりにも多いと良くない」
「多いと駄目のは何故だい?」
「……ヒロくんを好きなファンにとっては面白くない人もいる。勿論逆におれを好きなファンにも失礼になる……と思う。だから、絶対しないでとは言わないけどあんまり抱き締めたり距離近くなるのは気をつけなくちゃ」
そういいながら藍良の顔は暗い。僕はそっと藍良から一歩引いた。
「分かった。僕も気をつけるよ」
すると、もっと藍良の表情は暗くなった。
「藍良?」
「今は離れないで欲しい……。誰も気にしないでしょ」
そう言って藍良は一彩の腕を引いた。
難しいものだなと思いながらも一彩はしっかりと抱き締めた。




20210920





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