鍵の使い時【蘭拓】



※高校生かそれ以上で、神童が一人暮らししてます。鍵付きのマンションに絶対暮らさないと思うので、無理な方は読まないように。
お題「鍵はかけましたか」




渡された鍵を使えないでいる。ピアノのキーホルダーがついた鍵は神童のマンションの合鍵だ。なにかあったらと渡された鍵はきっと来てほしいという気持ちの表れだったろう。
渡されたのは半年前だ。だが使ったことは一度もない。神童と会うときは使う必要がないし、まずなにかあったらまず神童の元へ行くだろう。
「オレを信頼したからこそ渡したのか、それともーーーー」
手のひらに出した陽の光を反射する鍵をみて、眩しくてそのまま鍵を握った。なにかあったらなんて建前がないとこの鍵は使ってはいけないのだろうか。違う、建前なんてなくても使ってほしいのだ。
いつまでもどこか一歩を引いているオレに神童は気付いている。神童のためではなく、オレがそうではないと神童の側に居られないって思っているからだ。
「ああ、今日こそ使わなきゃな」
今日は神童のマンションを訪れる予定だ。オレがチャイムを鳴らすまで鍵はちゃんと閉めているだろう。神童のことだ、閉めていないことはない。
この鍵で開けて入ってきたら怒るかなと思いつつも、こういうことをさせたくて仕向けただろ?と言うのもアリか。
その前に、オレが使えるかだ。きっと鍵を開けた先を神童は望んでいる。



20210918




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